| Courtesy NASA / JPL-Caltech / University of Arizona |
フェニックス君は週末、接触事故を起こしちゃった。 数日画像以外の情報がなかったので様子がつかみにくかったけど、 月曜 (7 月 14 日) のプレス・リリースの最後の段落でようやく見えてきた。 TECP (Thermal and Electrical Conductivity Probe, 熱・電気伝導度探針) の作業中に『アリス』 (Alice) という石にスコップが衝突してしまい、 確認と再開のためにそれぞれ 1 日が費やされたよう。 他の惑星だとちょっとした接触でもいちいち大変なのだなあ。
- NASA's Phoenix Mars Lander Extending Trench (アリゾナ大学サイト)
2008 年 7 月 14 日 — NASA の Phoenix Mars Lander は、硬い表層下の物質の露出部分を拡げるために、 ロボット・アームを使用している。 この物質は、氷に富んだ土壌を分析するためのサンプルを、 着陸船のオーブンのひとつに与えるものと期待されている。
アームによる土曜の作業後には、溝は、 およそ 20×30 センチメートル (8×12 インチ) であった。 チームは今日 [Sol 49]、 長い方の大きさをおよそ 15 センチメートル (6 インチ) 拡げる命令を送った。
トゥーソンにある着陸船のほぼ完全な複製を使った過去 1 週間の実験では、 非公式に『白雪姫』(Snow White) と名付けられた火星の溝から 氷のサンプルを集めるために計画された手順がうまくいくために、 より大きな面が必要なことが示されている。
「今は、サンプルの採掘テストや、 その後の (熱・発生気体分析装置, Thermal and Evolved-Gas Analyzer, のための) 本格的な採掘を行うのに十分な量の暗い氷の土壌が溝の中にない」と、 フェニックスの『掘削の帝王』(dig czar)、 セントルイスのワシントン大学の Ray Arvidson は語った。 アームのヤスリは特殊な捕獲機構でスコップ内に氷の土壌を跳ね入れることになり、 科学者たちは、 ヤスリの動作により溝の内部に残るあらゆる砕けた物質をすくい上げたいと望んでいるのだと Arvidson は述べた。
もっと少ない量の氷を含まない『白雪姫』の土壌のサンプルは、 すでにフェニックスの湿式科学実験装置 (wet chemistry laboratory) と光学顕微鏡 (optical microscope) で調査されており、 フォーク状のプローブ (探針) が、 電気や熱をどの程度伝えやすいかをすぐ近くの土壌で検査している。「フェニックスの科学チームが、 念入りにこれらさまざまな装置による検査結果の分析作業をしているところだ。」 「我々が確かめつつある暫定的な証拠は、興味をかき立てられるものだ。 結果を公表する前に、 実験室での検査を行って我々の解釈が正しいということを検証したいと思っている」と、 フェニックスの主任研究員 (principal investigator) Peter Smith は語った。
土曜日 [sol 47] にロボット・アームがフォーク状の伝導度プローブを土壌から抜き出す途中で、 アームは掘削地点『白雪姫』のそばの『アリス』(Alice) と呼ばれる岩に接触した。 アームは障害物と接触すると動作を停止するようにプログラムされている。 日曜にチームはアームの状態を評価し、月曜にアームの利用を再開することを決定した。 今日 [sol 49] の命令では、ロボット・アームを岩から離し、 スコップ内の土壌を捨ててから、 『白雪姫』の溝を着陸船から約 15 センチメートル (6 インチ) 前方へ拡げることが命じられている。
なかなか進展しない『白雪姫』からの氷の掘削を差し置いて、 ロボット・アームの手首部分についている TECP によるテストや測定が先週は行われてた。
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わかっている範囲では、sol 41 と sol 43 に土壌にプローブを接近または挿入するテストが行われていたが、 本格的な測定が sol 46 から行われたらしい。 場所はテストが行われたところと同じで、SSI 右カメラから見て方位角が 38° ほどなので、 353° (北から西へ 7°) あたりの『ドードー=ゴルディロックス』と 63° (北から東へ) あたりの『白雪姫』の中ほどやや右より。 左の画像の一番上が無事 TECP を土壌に突き刺したところの非公式合成画像。
TECP は土に挿し込まれたまま 1 晩置かれたようだ。 水分が大気に昇華するであろう昼間と、 飽和して霜となるであろう夜間や明け方の土壌の伝導度の変化がわかるとなかなか面白そう。 フェニックスは太陽光の十分でない夜間は普通活動を停止しているが、 電力が十分貯まっているのか、 この sol 46 から sol 47 の夜中には、 ロボット・アーム・カメラ (RAC) が TECP の様子を撮影している。 それを独自構成したものが左の 2 番目の画像。 フェニックスには太陽の光が必要だけど、 RAC のカメラは LED の照明でカラー画像を得るので、光があるとうまく色が再現できない。 夜とはいってもフェニックスがいる所は、 今は太陽が北の空 3° ほどに留まり続ける白夜で真っ暗とはならないものの、 それでもかなり暗くはなるだろう。 地表の画像でもそれなりに色の情報は得られるようだ。
そして上のプレス・リリースでは sol 47 に引き抜かれたときに石にぶつかったとされているが、 画像を見る限りもう少し複雑な経緯があったよう。 接触のあと停止したままになっているアームを確認のため sol 48 に立体撮影しているのが、 左の上から 3 つ目の 3 つの画像。 真ん中の画像を共有して左が平行法、右が交差法用のステレオ写真のペアにしてある。 これをみると明らかにスコップが掘削して土壌をためたまま、 チタン製のスコップの先端がわずかだが『アリス』の後頭部を直撃している。 後頭部じゃなくて額かも。 この『アリス』は最初の画像に写っている石とは明らかに違う。 画像の方位角のデータを見ると 47° ぐらい、 TECP を挿入した位置よりすこし『白雪姫』よりのようだ。 何のための掘削かはわからないが、TECP 関連ということなら、 このあたりで表層下の伝導度も測定する予定だったのだろうか?
最後の画像は、 sol 49 に無事脱出したロボット・アームとさんざんな『アリス』の非公式合成画像。 左側に、sol 46 に TECP を刺した位置と石も写っている。 ちなみにこの左の方の石は、 昔のプレス・リリース画像 (アリゾナ大学サイト) を見ると、どうやら『首なし』 (Headless) と名付けられている石のようだ (ワシントン・アーヴィングの『スリーピー・ホローの伝説』から)。 『首なし』だったら後頭部もなかったろうに。





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