2008年6月18日水曜日

ポリゴン

Courtesy NASA / JPL-Caltech / Univ. of Arizona / Texas A&M Univ. / NASA Ames Res. Center

Sol 22 にはこれまでとは隔たった掘削地点『不思議の国』(Wonderland) の掘削が行われた。 右図がプレス・リリースでの公式画像。 この画像では raw image にある影を消してある! クレジットに追加されているテキサス A&M 大学とエイムズ研究所の力だろうか?

新たに掘った溝の名前は『白雪姫』(Snow White) だそうだ。 ロボット・アームの掘削可能域の西端あたりになる最初の溝は『ドードー鳥』(Dodo)、サンプルとされたその右隣が『ちっちゃなくま』(Baby Bear) だった。 今は『ドードー鳥』と『ちっちゃなくま』の間も掘られ、これらは一つながりの幅広い溝となっている。 この溝は『ドードー=ゴルディロックス』(Dodo-Goldilocks) と呼ばれることになった。 ゴルディロックスは『三匹のくま』の主人公である「金髪の女の子」のことだ (「ちっちゃなくま」は焼かれてなくなってしまったということのだろうか? ^_^;)、 さらに石などに付けられた名前まで目を向けると、『雪の女王』、『アリス』、『イカボッド』などなど。 どこの何の話かさっぱりわからない状態。

追記 『ドードー鳥』と『ゴルディロックス』は「溝」の名前で、 『ちっちゃなくま』は『お母さんぐま』 (Mama Bear) とともに『ゴルディロックス』のある「場所」の名前ということらしい。 ややこしい。
新たな溝『白雪姫』の位置

今回掘られた『白雪姫』はこれまでの掘削地点と対極のアームの稼動範囲の東端に近いようだ。 西側の掘削ではほんの 1.5 cm の掘削で氷とも塩ともいわれる輝く白い層が出現しているが、 『白雪姫』の方にはこうした白い謎の物質は sol 22 の掘削では見つかってない。 最初の掘削前に公開されていた土地の高さを示す左の図をみると、 掘削範囲の西側はいくらか低く、東側は盛り上がっている (図では赤い部分が高く青い部分が低い)。 フェニックスの着陸地点一帯に見られる多角形 (ポリゴン) 構造の、 多角形が接する溝の部分と、ひとつの多角形の内部とにそれぞれ対応するんだろう。

Courtesy NASA / JPL-Caltech / Univ. of Arizona

フェニックスが sol 0 で早速送ってきた写真 (右) にはっきり写し出されていたこの特徴的なポリゴン状の地形は、軌道上の探査機によって確認されていたもので、要するにまさにそういう地域にフェニックス君は送られたのだ。 地球の永久凍土地帯にみられるポリゴン構造と類似したこの地形は、マーズ・オデッセイ探査機のガンマ線スペクトロメータによる大量の水素原子の存在の確認とともに、この地帯の地下に水の氷が大量に存在するとされる大きな根拠となってる。 ニワカ知識をひけらかすのもなんなので、ポリゴンについてはこのページも読んでくださいまし。

また、永久凍土地帯のポリゴンやその他の地形のライフ・サイクルを図示したページとして、こんなのも。

地球のポリゴン地形については、Wikimedia Commons にこんな画像がある。

それぞれ、カナダのデヴォン島と、ノルウェーのスヴァールバル諸島の写真だ。 いずれにしても、地球ではこうしたポリゴンが発達するストーリーは、夏季に融け液体となった水が溝の部分に浸透し再凍結して地下に氷のくさび (氷楔) を作り出すというもののようだ。 つまり液体の水が必要。

一方で、火星の大気圧 (8 hPa 程度) は水の三重点 (6 hPa, 0.01°C) に近く、 初夏でも最高気温 −30°C 前後のフェニックスの着陸地点では、 地表で液体の水が安定して存在できそうもない。 H2O は氷より水のほうが体積が小さいので、 温度が多少低くても地下の圧力が高いところで水になる可能性はあるけれど、 相図を見る限りでは −30°C ともなるとちょっと無理そう。 果たして、火星のポリゴンは過去に形成されたものが残っているだけなのか、 いまでも地球とはちょっと違った仕組みで活動しているのか? 火星のポリゴンについては調べればいろいろ議論されているのだろうけど、 フェニックス君の活躍がそれについて決定的な情報をこれからもたらしてくれることは間違いない。

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