2008年6月9日月曜日

ふるいつまっちゃった

Sol 13 が終わった時点で、フェニックス君の初めての分析作業はまだ暗礁に乗り上げたままだ。 土壌サンプルを TEGA (加熱器と質量分析器からなる装置) にかけ土壌にふくまれる成分を分析することが この最初の分析作業の目的だった。

“Baby Bear” と名付けられた掘削地点から sol 11 に掘り出された土壌は、 翌 sol 12 に TEGA の 8 つある加熱器の入り口の細いふたの上に予定どおり落とされたのだけれど、 内部にある光学センサーは土壌が加熱器に入ったという信号を発してくれなかった。 入り口には 1 mm の目の電動式の「ふるい」があって、小さな加熱器に入る粒子を選別する手はずだったようだが、 どうやら土の粒子がこのふるいを通り抜けなかったらしい。

この分析作業の前から、テストの掘削作業などを通じ、 土壌の性質がこれまで火星探査が行われた地点のものと違って硬く粒子状になっていると Twitter のフェニックスも言っていたので、 ふるいを通り抜けられないのはその粒子状の土の性質によるのかもしれない。

ちなみに “Baby Bear” は童話『三匹のくま』の「ちっちゃいくま」にちなんで名付けられた名前で、 隣にはまだ掘削されてない “Mama Bear” と “Papa Bear” が控えている。 『三匹のくま』の内容などすっかり忘れてしまっていたけど、主人公の女の子 (イギリス版では Goldilocks というらしい) は、 たしか「ちっちゃいくま」の椅子を壊したりスープを飲み干したり、一番「ちっちゃなくま」が災難を被るのではなかったっけ。 今回いきなり災難なのは主人公のフェニックスの方だけど。

まる一日の間を開けて sol 14 の朝 (おそらく日本時間で月曜日未明) にはふるいの振動周波数を変えてみる指令が送られたみたいだ。 おそらく日本時間で火曜日朝のブリーフィングで首尾よく土壌が落ちたかどうか結果が報告されることになるのだろう。

Sol 14 にはまたロボットアームが sol 16 以降の次の分析となる MECA に供給するための土壌を “Baby Bear” から取得したようだ。 MECA は顕微鏡や水を加えてイオンなどを測定するビーカーなどからなる複合装置だけど、 今回は顕微鏡用だけのサンプルかもしれない。 日本時間で月曜夜に公開された sol 14 の写真の印象では、 スコップの中の土はこれまでの写真以上に大きな粒子状になっている気がする (上の写真、非公式コンポジット、近似カラー、右上の部分が黒いのは日光が当たってとんでいるため)。 顕微鏡の入り口にもふるいはあるのだろうか。 ことによるとこっちの分析も遅れてしまうのかもしれない。

“Baby Bear” とその左の試掘サイト “Dodo” の掘削後の写真も公開されているが、 なんだか不思議なものも写っている。 これまで掘削後の溝の右上あたりに周囲より白い物質がみられて、 スコップの中にもそれらしい物質がとられて氷か塩かと議論されていたけど、 これはずいぶん明るい物質のように思える。 さらにたまたまの光の加減かもしれないものの、 “Dodo” 内部のある一点だけがなぜか非常に明るい (右下の写真の左マーク部分、非公式コンポジット、疑似カラー)。 赤外線のバンドではむしろこの白い物質の部分は黒っぽく写るのだけど、 その光る点だけどのバンドでも白なのでやっぱり何かが強く反射しているのかな? さてそれで塩の結晶が光っているのか、氷の結晶が光っているのか、 あるいは別物か私にはまったく判断はつかないのだけれど。

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